好きな情景
兵庫県明石市・法音寺にて。
なんの変哲もない地元の人しか知らない小さなお寺。そしてその境内には住職さんの個性がほどよく反映され、ほどよく整備されほどよく荒れている。草花や野良猫が安らぐ場所。たぬきのまぬけな置物や、雨水が少したまった陶器の鉢。そして石仏たち。
僕はこういう情景を見るのが好きだ。雑草一本の存在さえも拒絶する厳しさも見上げるほど壮麗な大伽藍も好きなんだけど、僕が毎日ながめ思索にふける場所をもとめるとするなら、やっぱりこういう情景に落ち着くんだと思う。おろかな僕が等身大でいられる場所。かっこつけなくても内面からにじみ出るやさしさを身に着けた、こういう場所のようにありたいと思う。
そして並んだ石仏たち。僕自身に信仰心はないけれど、こういう石仏たちを奉納して毎日お世話する人たちの信仰心を感じると、なんだかきゅんとするのです。