誤った解釈を堂々と掲載する雑誌-相関と因果は、似ているようで大ちがい
わりとまじめな有名誌なのに、誤った解釈を堂々と掲載してしまう。
高学歴女性の人生を狂わす「仕事と家庭の両立」できる・できない3大分岐点 (プレジデント) - Yahoo!ニュース
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20160411-00017767-president-bus_all&p=1
引用---------
アンケート調査結果では、まず第1子出産後、同じ会社で就業継続した女性と両立を希望していたがやむなく離職した女性の双方に、「家事・育児負担割合」を比べました。すると、配偶者(夫)による家事や育児の負担状況に差が見られることが明らかになりました(図表1)。
「妻による“育児”負担割合が80%以上」と回答した割合は、同じ会社で就業継続した女性は56.1%、一方、離職した女性は77.3%でした。夫が家事メンであるほど就業継続している女性が多いのが特徴的です。
では、家事に関してはどうか。
「妻による“家事”負担割合が80%以上」と回答した割合は、同じ会社で就業継続した女性は44.5%で、離職した女性は86.4%でした。離職した女性は、夫の支援がほとんど得られていなかったことが分かります。
引用おわり----------
この記事の解釈は、因果関係と相関関係を理解していないと思われる。
この記事では、
「夫が家事を手伝わない」-->「妻が離職せざるを得ない」
という因果関係にしか注目していない。しかし実際には、
「共ばたらき時代の夫婦の家事負担は平等だった」-->「妻が出産を機に離職した」-->「すると妻は、自分は専業主婦になったんだから、とうぜんのなりゆきとして家事を負担しようと思った」
という図式もあるはずだ。
だいたい、夫がフルタイムで働いていて、妻が専業主婦をやっていて、家事負担割合が共ばたらきのときと変わらないわけはない。そんなの逆に異常でしょ。
プロの学者は、こういう記事を読むと自然と、因果関係と相関関係のちがいを意識する。この記事を書いた人も何らかのプロならば、これを意識しておくべきだ。単に相関関係があるからといって因果関係があるとは限らない。因果関係を客観的に立証しないと、こういう記事を書くべきじゃない。
日本のマスコミが苦境に立たされていることの一因は、こういったかんじでのマスコミ側のクオリティの低下もあるように思う。まずは、良い記事を書き、良い記事を掲載する努力をすべきであろう。