「時代に逆行する」
こんな記事があった。
時代に逆行する曽野綾子氏のコラム 多様な民族を受け入れる姿勢こそが日本に必要 | Kosuke Takahashi
このウェブ記事は、「曽野綾子は時代に逆行してるからダメだ」と言っている。しかし、よく考えてみてほしい。世の中にはクリエーター的な人たちがいる(たとえば作家や芸術家、大学教授だって含めてほしい)。そういう人たちにとってある意味、「時代に逆行してる」というのは褒め言葉になり得るのだ。...
もちろん僕は曽野綾子の言説がきらいである。それは、人種差別というのが「時代や風潮に関係なく本質的に」ダメなことだから。しかしこのウェブ記事の筆者は、「時代に逆行してるから」ダメと言う。これは僕からの揚げ足取りではなく、根本的な間違いを指摘している。
逆に考えれば、時代の流れに乗っていたらイイのか?ということになるからである。
ときに、2014年のヨコハマトリエンナーレで気になる展示があった。そこには、日本の戦時中、有名な文豪とか詩人とか芸術家とかが、率先して戦争賛美・軍国主義賛美をしていた証拠が展示されていた。時代の流れに乗ったこれらの人たちは汚点を残した。それは、「時代や風潮に関係なく本質的に」ダメなことをしたからである。
というわけで、ハフィントンポストにジャーナリズムの一端を担ってる自負があるのなら、「時代や風潮に関係なく本質的に」良いかわるいかで批判をしてほしい。それがクリエーターに対する正当な批判である。
ちなみに、ビジネスや政治に対する批判なら、「時代に逆行する」という理屈も成り立つ。ここは混同しないでほしい。
思えば、科学でも芸術でも、時代のマジョリティをくつがえすような人がすごいのである。どんどん時代に逆行していきたいものである!