ぼくのほそ道

サイエンスとかアートとか自然とか仏像とか生物とか・・・。僕の知り合いの人は読むの非推奨!

地方の美術館に行くと、「地元の生んだ芸術家」みたいなコーナーがあり、しょーもない作品がならべられてたりしがちである。こういうのを遠足で見せられる子供たちにはアートはだるーいという印象を残す作用しかないだろうし、遠方から訪れる僕のような者にはサブカル的なネタを提供している。地元で生まれたから、というだけの理由で地元の美術館に飾るというのはどうかと思うのである。

おなじ理由で、日本の近代の洋画家たちの絵が、どうも好きになれない。「日本人が描いたから」というだけの理由で、日本でありがたがるというのがしっくりこないのである。もしおなじ絵をポルトガル人が描いていたら日本で展覧会を実施するだろうか?わたくしはこういう評価基準でものを見てしまうのである。別にこの評価基準を人に押し付けようとか広めようとかは思わない。個人的な感覚である。これも科学者としての思考の副作用で、「自然科学の真理に国境はない、人の素性は関係なく理屈だけを客観的に考えるように」と訓練されてきたから、アートについても、「僕が美しいと思えるものを見たい」というだけなのである。

ちなみに、「その場所でないと成り立たない」というサイトスペシフィックなアートなら地元の美術館で展示する価値があると思うのである。地元で生まれてパリの風景を描き・・・みたいな人の展示をする必要はないと思うんだけど、よそ者だけどこの土地の風物を描き・・・みたいな人の作品をその場所で観るのは好きなのです。