敦賀
神戸からひたすら新快速に乗り続けていると、電車は福井県に入ってほどなくして、敦賀駅で僕を吐き出した。人生初の福井県、敦賀駅前は冷たい雨が降っていた。あわててザックからダウンジャケットを取り出す。三月とはいえここは北陸。僕の流儀は、この異国では通じないのだ。スイカもイコカもこの国では通用しない。改札の駅員さんの視線が、僕の前途を呪うようで、はたまた逆に祝すようで、僕はしばし当惑した。
残雪が 雨にとけぬる 敦賀駅
敦賀駅で三十分ほど待ち合わせ、すきま風が盛大に吹き込む旧式列車に乗り換える。さらに北を目指す。次は福井駅で乗り換えだ。長い長いトンネルを通過中に車掌さんの検札を受ける。すかさず青春18きっぷを恥じらいもなく差し出す。